楽器の価値ってどこにある?安物はゴミなの?
「安いギター使ってるやつは馬鹿」みたいなつぶやきが話題になっています。
私はこれまで5000円のものから50万円のものまで、20本以上のギターを購入してきました。意味不明ですよね。腕は2本しかないんだから。
今回はこの経験をもとに、ギターというものにはどんな価値があるのか、何に価値を感じてこれまでギターを買ってきたのか、紐解いていきたいと思います。
恋人・配偶者が音楽をやっていて、日に日に機材が増えてブチギレる寸前なんて人も、
これを読んで「意外と色々考えてんのね」なんて思っていただければ嬉しい。
まとめ
今回は先にまとめを書きます。上述したつぶやきをするような人種に言いたいことがあるから。
そもそも、楽器に限らず「他人が愛情を傾けている対象をわざわざけなす人」は能無しです。他を下げることでしか自分をアピールできない馬鹿です。そんな人間は誰も信用しません。何より格好悪すぎるでしょ。芸術は人間性なので、きっと奏でる音楽も格好悪いんだろうなあ。仮に炎上商法だとしても下手くそすぎて鳥肌立つわ。
安物とハイエンドの違い
さて本題。
色々な価格帯のギターを触ったことのない人は
「実際、違いってあるの?素人にもわかるの?」という点が気になると思います。
私の経験上、はっきりとした違いは確かにあります。主に後述する音色やつくりの部分で。
音色に関しては上達してくれば安いギターでもある程度いい音で鳴らせるようになるんです。無意識に手元の弾き方で悪い部分のバランスを取れるようになるから。
ただ、箸にも棒にも掛からないギターというのは確かに存在する。
・チューニングが合わない、弾いたとたんにずれる
・音がちゃんと出ないフレットがある
・とんでもなく弾きにくい
・フレット端の処理が甘く、けがをする
こういうギターはもはや「売るなよ」とも思うんですが、私も最初はこういったひどいギターを1万円で買って練習する中学生でした。2本目に5万円のギターを買ったときは、普通のギターってこういうもんなのか!と心底感動しました。今になってみればいい勉強。
ただ、基本的にギターって、楽器としての性能は20万前後のグレードが上限です。
そこから上はもう、ブランドのネームバリューだったり、良いパーツうぃ使っていたり、希少な木材を使ってたりという部分で、どうにかこうにか付加価値を乗っけているのが現状だと思います。
(ビンテージに関してはさらに色々な観点から金額が上がる。ある時期だけの仕様、このシリアル、フルオリジナルパーツ、などなど…)
「じゃあ無駄に高いギターなんて買っても意味ないじゃん。結局腕次第でしょ」なんて声も聞こえてきそうですが、技術不足を助けるギターというのは確かに存在します。
そこに命を懸けている職人さん達がいる以上、下手なこと言うもんじゃないんですよね。
ギターにはどんな価値があるのか
では実際どんなところに人は価値を感じるのでしょう。
1.見た目
私の中では見た目がかなり重要なファクターとなっています。
見ていて惚れ惚れする楽器は眺めたり触ったりするだけで楽しいし、弾いてもまた楽しいです。
人前でこれを演奏したい、こいつでいい音を鳴らしたい、といったモチベーションアップにも直結します。
また、「かっこいい/かわいい楽器ですね」なんて会話のきっかけにもなります。
「見た目なんかどうでもいい」って話はあまり聞かないので、多くの演奏者にとって見た目は大きいと思います。
2.ストーリー
「憧れのアーティストと同じ楽器」「ロマンあふれるビンテージ」「家族や友人から譲り受けた」…などなど。
私は見た目がボロボロなのに音が現役、という楽器に目がないタイプです。
一番気に入っているのはボロボロのビンテージです。
やはり50年も壊れずに現役で生き抜いてきた楽器というのは夢があります。
「ビンテージなんて誰の汗が染みついているかもわからないし新品じゃなきゃいやだ」という人もたまにいます。
ただ、じゃあ安物は気に入っていないのかといえば、安いギターだって同じくらい気に入っているし、同じくらい演奏しています。
3.音色
言わずもがな。
ただこれについては「フルオリジナル派」「カスタム派」でちょっと意見が分かれそうです。
私は100%カスタム派なので、ボディとネック以外すべて取り換えられていても、
それが自分の好みであれば問題ないんです。
それに新しく買う楽器を選ぶとき「気に入らないところがあれば自分で試行錯誤して取り換えればいいから」という姿勢で望めるのはとても楽です。理想の音への過程を楽しんでいる部分もあるので。
フルオリ派/カスタム派はプロの中でもかなり意見が分かれる部分です。
有名どころで言うとOKAMOTO’Sのハマ・オカモトさんは以前、「初めに手にしたときの状態を気に入って買うから、カスタムは行わない」という旨の発言をしていました。一方、ペトロールズの長岡亮介さんは自分好みにどんどんパーツを交換するタイプで、何なら作っちゃうタイプです。
こだわりは正反対でも、両者とも第一線で活躍する素晴らしいアーティストなのが面白いですね。
4.つくりの良さ
これは現実でもネット上でもよくいわれるセリフですね。
「あのメーカーはつくりがいい」「このブランド、見た目はいいけどつくりがちょっとね…」なんていうでしょ。
私、これ、ほんとわかりませんでした。
持った瞬間に「つくりがいいな」「あ、ちょっとゆるいつくりだな」と感じられるようになったのはつい最近です。
こればっかりはもう経験と分析ですね。ひいきの楽器屋さんに「つくりがいいと思う楽器を試し弾きさせてくれ」とお願いしてみるのはどうでしょう。
「つくりがいい」と言っても、ナットの処理、指板・フレットの処理、ネックとボディの接合、弦高のセッティング幅、配線、はんだ、オクターブチューニングの合いやすさ…などなど非常に細かく複合的に作用する部分なので口で説明するのは難しかったりもする。
5.ソーシャル的な価値
「周りに自慢できるかどうか」というのもけっこう重要なんじゃないでしょうか、今の時代。
インスタにバレンシアガのロゴTをあげればファッション好きから大量のいいねがつくように、やっぱり周りから「すごい」「うらやましい」と言われやすい楽器というのはあります。ジャンルにもよりますが。
せっかく買うなら自慢したいよね。わかるよ。人間だもの。
6.価格
さて、これが今回の記事の大本題。
ここまで読んだら誰でもわかりますよね。「価格なんて楽器の良さを決定づける要素のうちの、ほんの一部でしかない」のです。同じ価格帯のギターでもつくりや音は十人十色だし、何なら全く同じモデルのギター3つ並べて弾いても、音は違うのよ。(個体差)
だから私は50万のビンテージギターも弾くし、ハードオフで5000円で買ってきたギターを自分好みにいじり倒して普段使いもしています。
改めてまとめ
大事なのは、自分がその楽器に愛情を注いでいるかどうか、ただそれだけです。
「ものの価値を金額やブランドでしか判断できない人」って、なんてさみしいんでしょうね。
それでは。